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執筆者の写真まほろば

出向に関する労働契約法規定について

応援団登録者の方から、以下のようなご意見をいただきました。

ご本人の許可をえて、以下に掲載させていただきます。


◇「朝日」奈良版2月19日付の記事の中で、《教職員は「同意を得ておらず、出向命令権の乱用だ」と反発している》とあります。

 

これは、以下に挙げる労働契約法と密接に関わっています。 公立校の教員の方にはわかりにくいでしょうが、国立大学法人に雇用されている教員(奈教附小の教 員もふくむ)は、労基法にもとづく使用者・労働者の関係にあります。 

 

話題に上がっている「出向」は、労働契約法の中に定めがあります。以下、抜粋です。 

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(労働契約の成立)

第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うこと について、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

第七条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定めら れている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労 働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる 労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。


第三章 労働契約の継続及び終了 

(出向)

第十四条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場 合には、当該命令は、無効とする。

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◇ 奈教附小の教職員組合は奈良教育大学教職員組合の「分会」になりますから、奈良教育大教職組の代表と法人の代表で取り交わした、就業規則、労働協約が人事や労働条件等の根拠(法的理由)に なります。


側聞するところでは、就業規則には「出向」がありえることはうたってあるが詳細は定めていないということでした。 


◇「出向」は、在籍のまま現勤務先とは別の事業所に出向くばあいと、転籍をして(つまり、現在の雇用関係を解除して)出向く場合とあります。附小の場合、在籍出向で、3年を目安と学長側は言っているようです 。

 

しかし、教育課程を含めて教育活動の多様な面について研究しながらそれを生かした教職の仕事ができるから、と奈良教育大学附小にじかに採用された方(19名がそうだそうです)にとって、公立校へ勤務が変わることは大きく労働条件、労働内容が変わり得ます。

 

事由が妥当であれば、基本的には「出向」は使用者側の業務命令として労働者は断れないとされていますが、附小の事情からすると、個別に「出向」の条件、とくに出向先での労働条件などを説明し、同意を得る必要があります。もちろん、教員側からすれば、同意できる話ではありません。


第14条がうたうように、こうした必須の要件が満たされない場合、「出向」は使用者側の権限濫用であり、無効となります。

 

例えば「大学の運営交付金等の経営に関わるから」などと経営側の事情を持ち出して附小の当該教員を無理に「出向」に同意させれば、これは違法行為、不当労働行為となります。


学長側は、報道から知る限りでは、一方的に「法令違反」、大学の附属機関としての学校運営を「妨害」したなどとしてその責任を附小採用で長年勤めてきた教員にとらせるやり方で「問題解決」(それは文科の方に、そういう対応の根拠を示すため)を図ろうとしています。 


同じく報道から見ても、学長自身が、学習指導要領の法的性格・学問的性格の真相についても疎いし(そう読める)、ましてや労働契約等にはまったくといって良いほど知見がないままに、早く年度内にこの「問題」を処理しようと焦って、「朝日」の記事にある動きに出たことは明らかです。 


◇私が研究してきた弁証法のセオリーから言えば、内部の矛盾はすぐに露呈され、強行すれば破綻します。この場合、その矛盾を仕掛けた方(矛盾の主要な側面をつくり出した方)は学長側執行部ですから、執行部が追い詰めているようで逆に彼らが追い詰められるという、 反転の動きがすぐにでも起こるでしょう。


◇「出向を条件とする対処を、撤回せよ」の皆さんの世論は、それを後押しする意味もあります。

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