3月13日、衆議院文部科学委員会において宮本岳志議員が行った、奈良教育大学附属小学校の問題に関する質問を文字起こしてテキストにしました。
映像は、「衆議院TVインターネット審議中継 6:30:28 あたりからです。
宮本岳志議員
次に、奈良教育大学附属小学校の強制出向問題を聞きます。
3月11日、奈良教育大学の附属小学校教諭の強制出向に反対する緊急署名が提出されてニュースになりました。
しかし大学側は、附属小学校を支えている19名の大学固有の正規教員全員を最初の二年で十名という具合に県内の公立小学校などに同意なしで出向させる強硬な姿勢をとっています。
全国の多くの研究者や教育関係者からの抗議の声が上がっておりまして、何より困っているのは保護者と子どもたちであります。
保護者が独自に強硬な異動措置には断固反対致しますという2,000筆以上の署名を提出し、子ども達が校長室に抗議に行ったという話も現地で聞いてまいりました。
この附属小学校は一口で言えば、私は良い教育実践をしてきた学校だと思います。
子どもたちが実にのびのびしていて不登校も少なく、『みんなのねがいでつくる学校』というこういう本にも教育内容はなっております。
多動のお孫さんが附属小学校に通うようになってから見違えるように明るくなったと、涙を流して日々感謝されているという話も聞きました。
県教委出身の校長先生もですね、附属小学校の校長先生も、本校の教員は子どもに対して実に丁寧にきめ細かく指導していたことは間違いなく、驚くほど前向きに自分の言葉で話せる児童が多いことも事実です、と認めておられます。
ところが4名も強制出向させられたら、いったいこの教育はどうなってしまうのかと。現地で伺ったら、育休取得や一年契約の先生もいて不補充もある。
それに4人出向が加わると、なんと今いるフルタイムの枠32名のうち11名が4月に学校にいなくなるということになり、これが到底これまでのこれまでどおりの丁寧なきめ細かい教育ができなくなると先生たちは訴えておられました。
大臣ね、こんな本当にひどい大量の強制出向は子どものことを考えたら到底認められないと私は思いますがいかがですか、大臣。
望月総合教育政策局長
お答え申し上げます。
ええ、奈良教育大学の附属学校につきましては、長年にわたりまして不適切なまあ授業の展開を行なっていたということでございます。
ただあの先生おっしゃいましたように、非常にあのモデル的な良い教育をやってきたことも事実だと思ってございます。
その中で、あの附属校の人事につきましては、各国立大学法人の権限と責任に基づいて行われるものというふうに考えてございます。
附属学校の人事交流について、あのこれまであの文部科学省が大学に対して指示をしたということはございませんけれども、それぞれの大学で人事交流を含めていろんな観点での検討をしているものというふうに考えてございます。
宮本岳志君
いやいや、不適切だとおっしゃるけれども、あのその中身ですね、私は教育の中身、教育の専門職として考えた上でやってこられたことだと思います。
例えばローマ字を指導要領どおり3年でなく4年で扱っている。
聞きますと、やはりこれ子音と母音という抽象的概念が理解できる学年で扱うことがふさわしい。そういうことも、永年の実践の中で掴み取って4年生で扱うことにしているというふうにお聞きしました。
書写で毛筆を使っていないのは、準備や片付けの時間への配慮や、多様な家庭の条件も考慮して筆ペンで対応していたということでした。
指導要領を無視してやってたんじゃなくて指導要領を参考にした上で創意工夫しているだけのことだというふうに思います。
そもそも七生養護学校事件の確定判決は2011年9月16日の東京高裁判決でありますが、そこでは学習指導要領について学習指導要領に記述されている内容は膨大であり記述の仕方にもさまざまなものがあるところ、その一言一句が拘束力すなわち法規としての効力を有するということは困難であると述べております。
教科書を使っていなかったということも言われておりますが、例えば今日持ってきたこれはあの『子どもの美術』というものですが、これは図工の教科書に使っておられるらしいです。
これはですね非常に優れた教科書なんですが、あのもう今作られなくなって、この教科書出版が止まってしまって、保護者たちの力も借りて300冊寄付してもらい、これをまあ修繕しながら使ってきたと。
この教科書はですね安野光雅氏、佐藤忠良氏など、日本を代表する美術家が書かれた『子どもの美術』という本でありますけれども、元NHKのアナウンサー室長の山根基世さんたちが絶版を惜しんで復刻版を出された幻の名著であり、これを教科書につかってきたということでありました。
ええまぁ報告書をね、受け取ったということでありますけれども、私は文科省はこの報告書について圧力をかけたりあるいは介入したりしたのではないかという疑義を感じます。
報告書を見るとですね、ええ当該報告書が作成される前に二つの報告書が作成されていることがわかります。
一つは中間まとめであり、もう一つは最終まとめであります。
中間まとめがまとめられた段階の2023年10月10日、文科省は大学学長、調査委員長、副学長、校長を呼びつけております。
昨日総合教育政策局が私に提出した昨年10月10日の会議の概要によると、まず会議の冒頭で奈良教育大の学長から説明を受けた後、確かに文部科学省は総時間数が足りていないのであれば法令違反の可能性があるとか、双方向の人事交流についても考えてみたらどうか、などと言及をしております。
この面談の際に、文科省は学校側の調査報告に圧力をかける言動したのではありませんか。
望月局長
お答え申し上げます。
今、先生からご指摘ございました10月10日、奈良教育大学の学長から、それまでの事案の経緯、あるいは今後の対応方針についてご説明をいただいたところでございます。
その際、文部科学省の方からは、ああまあ教育課程のこととともにですね、人事交流についてはあくまで一般的な例として、他の国立大学法人でも多くなされている付属学校における人事交流について言及したものでございまして、大学に対して具体的な指示をしたものではございません。
宮本岳志君
そうですかね。
この10日の面談を機に、厳しい追加調査ですね、法令違反を取り締まるかのような厳しいものに変わっていったと聞いております。
そして前代未聞の強制出向自体、文部科学省が圧力をかけて行わせようとしているのではないかという疑念が残ります。
確認しますけれども、出向や交流人事については、任命権者、この場合大学法人の判断で決めることであって、文部科学省から命じたり指示したりするそういう権限はありませんね。
望月局長
大学の責任と判断によりまして実施されるものでございます。
宮本岳志君
大学法人の人事については国が命じたり指示できないことは確認致しました。
ところが冒頭に紹介した保護者の皆さんの署名の呼びかけを読みますとですね、学長先生から、文部科学省は法令違反をした教員が次年度も附小の教育を続けるのを避けて全員入れ替えるべき、という見解だと伺いました、と書かれております。
しかし大学の報告書には法令違反をしたなどとは大学の報告書自身には書いてないわけですね。文科省は大学に、教員を全員入れるべきだと迫ったんですか。
望月局長
お答え申し上げます。
あのそのような事実はございません。
ええまた、あの先ほどから繰り返し申し上げましたけれども、まあ人事交流につきまして一般的にあのどこの学校法人国立大学法人とそれから地方が連携をして事業を行っているとそういう例をとらえましてその閉鎖性を打破するという観点から一般的に人事交流を行ってはどうかということを申し上げましたけれども、まあ先生おっしゃるように全ての教員を入れ替えてはどうかというようなことをこちらから具体的に申し上げたことはございません。
宮本岳志君
では学長が嘘をついたということになりますね。
私が聞くところによると、保護者は学長からしっかり、全員入れ替えは文科省の見解だと聞いております。
それだけじゃありません。先生たちも、この1月の31日、学長同席の場で三木副学長から、「自民党の文科部会で議案に上がりかなりのご意見批判を受けた。文科にまさかこのメンバーでこの4月を迎えるのではないでしょうね。」と言われた。
「文科省の上層部から全員変えろと言われてそれで運営ができないということで何回も折衝した結果こういうことになってしまった」と説明されたと、私に証言をいたしました。
この証言は極めてリアルで記録もあります。
言い逃れはできません。
文科省が大学の望まない全員出向を強要したのが真相でありませんか。
政治的圧力で文科省は違法に大学の人事に全入れ替えの圧力をかけたことはわたくしは明白であり、この罪は本当に重いと思います。
まさに政治権力が行ってはならない教育への不当な支配そのものでありまして、まさに、みんなの願いとこういうみんなの願いで作る学校を国の圧力で壊す、このような強制出向は絶対に認められないということを申し上げておきたいと思います。
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