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折出健二先生よりご寄稿いただきました(2024.3.11)

執筆者の写真: まほろばまほろば

当サイトの呼びかけ人でもある折出健二先生(愛知教育大学名誉教授)より、以下の文章をご寄稿いただきました。


紹介させていただきます。



奈良教育大学附属小学校教員に対する「出向」命令の取り消しを求めます

――その強行は、時代に逆行するとともに、教職人生を著しくゆがめる職権濫用であるーー


2024年3月11日    折出 健二

 

まず、次の「提言」(抜粋)を読んでいただきたい。 


「国は、学習指導要領の改訂の検討に当たり、加速する社会の変化に合わせて、学校現場が適時に教育の在り方を見直し、地域の特色や新たな発想に基づく創意に富んだ教育活動が展開できるようにする観点から、指導方法を画一的、限定的に定めることとならないよう、地方公共団体や学校への示し方を工夫する。

 例えば、アクティブ・ラーニングなどを推進するに当たっては、深い思考力等を育むという本来の目的から離れて、特定の型どおりに指導するといった硬直性を生んだり、既に積極的に取り組んでいる学校の足かせになったりするなどの弊害を生まないよう留意する」(引用者が改行した)


 これは、安倍第二次内閣のもとで閣僚・有識者によって構成された「教育再生実行会議」の「第七次提言」(2015年5月14日:教育、教師の在り方の改革)の一節である。同「会議」は首相の私的諮問機関であることを考慮しても、学校教育と教師の創造的な教育活動について妥当な見識を提示している。

 

 学習指導要領の枠にはめようとして指導が「画一的、限定的」となる「硬直性」を生み「学校の足かせ」となる「弊害」を、国政を預かる大臣たちや各界有識者が憂慮し、「教育関係者、保護者を含む社会の全ての人々」(同「提言」の「はじめに」)にたいしてその「共有」と「実行」を求めていた。

 

 いま、奈良教育大学附属小学校における教育課程の「不適切」「法令違反」問題として起きていることは、まさに「提言」にある「硬直性」「学校の足かせ」そのものを大学当局が行なっていることを明瞭に示している。


 ところが、その「不適切」「法令違反」の妥当性を教育大学にふさわしく学問的に誠実に検証することもなく、学習指導要領の記述をただ教育課程点検の手段に使い、その責任を当該の教員たちに負わせようとしている。学長(大学統括理事)が発出する「出向」命令がそれである。これが学長ガバナンスの名の下に強行されようとしているが、それは、職員の総意を反映・調整して統治する本来のガバナンスではないだけでなく、時代に逆行する、学問的理性なきやり方である。

 

しかも、この「出向」命令は、子どもの成長のために教育研究と教育実践を統一的に探求し自らも成長していくことを決意した同大学採用教員たちの教職人生に、著しい不利益と不調を及ぼすものである。


国立大学法人職員である同校教員の労働は労働基準法、労働契約法(特に第14条)によって保護されるべきである。これらの規定をふまえれば、文部科学省への忖度を第一に考え学長の名義において「出向」命令を強行することは、学長職権の濫用である。

 

奈良教育大学執行役会は、ただちにこの「出向」方針を見直し、改めて、附属学校教員との共同的な対話と建設的討議を軸にした改善に向けて、関係者が鋭意努力されるよう要望したい。それこそが、教育大学附属校に課せられた「実験的・先導的な」学校づくりを追究する本来の道である。


 
 

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