3月1日、朝日新聞奈良版が、奈良教育大学附属小保護者あてに学長名で配信された「教員人事交流方針」文書について報道しました。
見出しには「3年で全員出向否定」とありますが、記事を読むとわかる通り、「2年間で専任教員の半分にあたる10人程度を出向(3年目からは明言せず)」という大幅な出向を行う方針であることには変わりなく、しかも、教員本人の事情や意思を無視してでも無理やりに強行する姿勢です。
その結果、ほとんどの専任教員が数年のうちに出向させられ、附属小にいない状態となることも考えられ、これまで実践され受け継がれてきた附属小の伝統的なよい教育を維持することが難しくなり、子どもたちにも影響を及ぼすことは間違いありません。
保護者から寄せられている情報によりますと、子どもたち有志が署名を集め、校長先生に要請したそうですが、この文書はその翌日に配信されました。
教育過程の問題、学校運営の問題などについては、様々な意見はあっても、大学、学校内部での検討と話し合いにより解決できるはずです。
なにより子どもたちのことを優先的に考え、無理な人事を行わず、附属小のよい教育を守ってほしいというのが、子ども、保護者、支援者の願いです。
また、「異動は処分でななく、研鑽を積むことを目的」とされていますが、このような人事は「懲罰的」であり、「学習指導要領通りの教育実践を行わないと、このような目に合う」という見せしめとして、全国の教員たちい受け止められてしまうのは避けられません。
そのことが全国の教育現場を委縮させ、悪い影響を与えてしまうことを深く憂慮します。
今回の事案にかかわる大学の調査報告と人事方針については、多くの教育研究者や学校関係者から、疑問視する声があがっており、今後学術的にも検討の対象となるでしょう。
「お詫び」と「人事」による拙速な「解決」ではなく、教育者の英知を集めた慎重な検討の上に、学校教育のよりよい発展のための議論と解決が図られるべきではないでしょうか。
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