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西浦先生が歴史教育者協議会の集会で訴え(2024.12.26)

執筆者の写真: まほろばまほろば

12月21日(土)に滋賀県大津市において行われた「2024年度歴史教育者協議会近畿ブロック研究集会in滋賀」において、西浦弘望先生(守る会運営委員、附小非常勤講師)が「奈良教育大学附属小学校からの報告-その動きと現状-」と題して特別報告されました。


その報告の内容をまとめていただきましたので、以下に掲載いたします。


ぜひお読みください。


【特別報告】

奈良教育大学附属小学校からの報告 ~その後の動きと現状~


                             奈良県歴教協 西浦弘望

(奈良教育大学付属小学校非常勤講師兼京都橘大学非常勤講師)


今年(2024年)1月、奈良教育大学学長が「謝罪」記者会見で口にした「附小の教育課程における法令違反」「不適切授業」「回復措置」という言葉がマスコミなどで報じられ、一人歩きしました。


この「学習指導要領違反」を口実とする民主教育の否定は、文部科学省により附属学校を有するすべての国立大学に教育課程の一斉調査が求められるなど、多くの学校・教職員に息苦しさを広げました。


更に学長は、附小の独自採用教諭(人事交流ではなく、大学採用の教諭)19人全員を3年のうちに順次、籍を残したまま「出向」「異動」(3年をめどに復帰)させる方針を打ち出しました。「処分」「懲罰」ではなく「研修」とされましたが、明らかに附小が積み重ねてきた教育実践の成果を解体してしまう異常な提案でした。


職場や少なくない保護者が反対したため員数は減じられましたが、3月末、5人の教員が強制的に「出向」(3人)、「異動」(2人)させられ現在に至っています。


また、この決定が急なものであったために奈良県との交換人事がうまく進まず、現在も常勤教員2名が欠員のままで、非常勤講師を採用して補っています。


この事態を重く受けとめ奈良では、「みんなのねがいでつくり学校応援団」のサイトを立ち上げ、附小の実践を知る者、今日の教育のゆくえに危機感を抱く人々が、声を上げました。そのサイトは、「奈良教育大学附属小学校を守る会」に発展し、支援を続け、現在までに会員344人(12.23現在)が集っています。


私たちは声を上げることで、学習指導要領の「大綱的基準」としての法的位置づけと、目の前の子どもを中心に教育課程を柔軟に編成するために認められているはずの現場裁量の認識を、社会で広く共有する機会にしなくてはならないと考えています。

そして、「子どもが主人公」の学校をつくりたい……。そう願う教員が、処分されるのではなく、大事にされる社会こそ目指すべきものだと考えています。


今年度も人事調書の提出がせまっています。先日、学長が調書の記入・提出に関して説明しましたが、10年以上勤務した者を「出向」させる方針に変わりはなく、調書にも公立への「出向」についての回答欄(地域など)が設けてありました。


学長からの説明に対して、

「強制出向のために現在も2名が欠員だが、欠員や不補充をどう考えているのか」

「公立校から附小へ赴任する希望者があるのか。ない場合はどうするのか」

「大学の独自採用者を増やしてほしい」

など教職員からの反対意見が相次ぎました。

学長は独自採用を増やすことは予算上無理だと回答する一方、「もし、出向の希望がなければ、やらないこともある…」と濁したりして、判断を迷っている様子もうかがえたそうです。


附小では今年度初めに教育課程を大幅に変更したため、題材ごとの観点別評定を「通知表」に置き換えるシステムの構築が間に合わず、1学期末には「通知表」を作成しませんでした。2学期末に1・2学期まとめたものを児童に渡します。


私は非常勤講師で低学年の図工を担当しています。教科書教材と附小の独自題材とがまぜこぜになっており、消化不良を起こしそうになりながら、やっとの思いで評定を出したところです。


「学長に『出来るじゃないか』と思われたら悔しい」「子どもの学びにならない、と押し返したい」などの意見が交わされるなか、大学から単元毎の知識・思考・態度の三観点の評定を求められています。その上、授業を実施したときの映像もそれぞれ添えることが求められています。「法令違反」を再び起こさないように管理が進んでいるのです。


それでも、11月23日に第50回教育研究会を開きました。テーマは、「子どものための授業づくり~目の前の子どもをどうとらえるか~」でした。参加者は250人を超えました。私は、京都橘大学発達教育学部4回生57人と一緒に参加しました。


学生は、附小の先生たちは、子どもをしからない。子どもを見極めようとしていたこと。また、授業が子どもの分かり方を大切にして組み立てられていることに感動して帰ってきました。そして、参加した研究協議では、附小教員と直接話せたことや討議内容にとても刺激を受け、自分自身の来春の教員生活スタートに大きな目標をもらったようでした。


子どもを主人公にした学校づくりを守り育てるために、強行された出向・異動を取り消して人事を安定させることから始めるべきだと思います。


出向させられた教員3人が、保護者や子ども たち、教職員を悲しませる出来事を二度とくり返すまいと、6月12日、強制出向を不当として 提訴されました。次回の公判は、1月14日(火)です。わたしたち「守る会」は、この裁判を全力で支援します。多くの方々に応援をお願いします。


このような事実にもとづいて学校づくりや教育実践の本来あるべき姿について問い合うならば、教員の出向を阻止することをきっかけに、もっと大きな展望も見えてくると考えます。是非守る会のパンフレットを広めてください。裁判の支援をお願いします。カンパをお願いします。多くの方に、実情を聞いて欲しいのです。呼んでいただければ、行きます。よろしくお願いします。


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