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執筆者の写真まほろば

Yahoo!JAPANニュース 前屋毅さんの記事(2024.3.6)

3月6日、Yahoo!JAPANニュースにおいて、ジャーナリスト前屋毅さんが「奈良教育大附属小の教育実践を『不適切』とすれば、全国の前向きな教員や学校を萎縮させることになる」という記事を書いておられます。


附属小の教員たちが授業実践を記録した『みんなのねがいでつくる学校』(クリエイツかもがわ)で「解説」を書いている、神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授の川地亜弥子氏に附属小の教育実践についてインタビューされた記事です。


ぜひ、お読みください。



以下、最後のあたりを抜粋させていただきます。


―― 子どもたちが主人公になる授業づくりに、附属小の教員は取り組んでいるということですね。


川地 そうです。附属小の取り組みを「不適切」とする報告書(「奈良教育大附属小学校における教育課程の実施等の事案に係わる報告書」<奈良教育大学>)のなかで、「履修年次が違う」という指摘もありました。たとえば学習指導要領で4年生で履修すべきとされていることを別の学年でやっていた、といったことですね。


 子どもたちが関心をもって、実感をともなって理解することを大事にすれば、これは4年生ではなくても別の学年でやったほうがいいという判断も、当然あるはずです。子どもたちの状況を間近でみているからこそ、そういう判断がでてくるとおもいます。


―― 学習指導要領ばかり気にしすぎると、子どもたちの実態を無視し、子どもたちの実感を無視することになりかねませんね。その結果、子どもたちの学びのチャンスを逃すことにもなります。そうならないために、履修年次を適切に選ぶことも必要ですよね。


川地 子どものために必要だとおもいます。とくに附属小は実験的・先進的な教育を行うという役割もありますから、子どもたちの実感をつかんで履修年次を見直していく試みは、むしろ、重要です。その実践が、次の学習指導要領や、全国の学校での授業改善にも役立っていくはずです。


 しかも教育課程の編成は、学習指導要領に基づいて、それぞれの学校が主体としてやることになっています。つまり、附属小が根拠をもって履修年次を変えている場合、法律違反と断言することはできないとおもいます。「法律違反」という報道もあるようですが、教育法等の観点からきちんと検討しないでそこまで言えるのか、私はかなりの疑問をもっています。


―― 教育課程の編成権が学校にあるのなら、附属小学校だけでなく、ほかの学校でも履修年次の工夫はやってもいいわけですよね。


川地 子どもたちが興味をもっているから、ここで教えようという先生の判断はあっていいとおもいます。そのように子どもたちの現状をみて判断されている先生は、いらっしゃるとおもいます。2017年に改訂された新学習指導要領に「カリキュラム・マネジメント」のような新しい語がはいったことは、学校が主体の教育課程の編成と改善、実施を励ますメッセージだと考えています。


 このように、効果的な指導とか教科横断的な指導が新学習指導要領でも要求されているなかで、履修年次の工夫も必要なことだとおもいます。にもかかわらず、先進的な教育をする役割をもち、その工夫を実践している附属小の実践が問題視されるのは、とても不思議です。


 子どもたちが何を困っていて、何を知りたいとおもっているかという実感に根ざした指導をするために、いろいろ工夫している先生は全国にいらっしゃいます。今回の附属小の実践を「不適切」とする動きは、そうした前向きな先生や学校を萎縮させることになるのではないかと、とても心配しています。

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