3月22日、Yahoo!Japanニュースで前屋毅さんが「校長権限を強化するために創造的な教育実践を犠牲にしていいのか、奈良教育大附属小の件は教育全体の問題だ」という記事を書かれています。
折出健二先生(愛知教育大名誉教授)にインタビューされた記事となっています。
一部を紹介させていただきます。
|専門職としての教員の意見を無視したことが問題の根源
―― 校長の権限を絶対化して、教員の意見を無視するようなことがあってはいけない、ということでしょうか。
折出 子どもたちの教育のために、自分のいろいろな経験や能力を活用していくというミッションをもっているのが教員で、だから専門職です。専門職であろうとする思いのこもった意見なわけです。
そうした教員たちの声に、校長は耳を貸そうとしなかった。学習指導要領を不動の基準のようにして、附属小の教育実践を「間違いだ、指導不足で問題だ」としてしまっています。そんな一方的な姿勢だから、教員も反発するわけです。
校長が専門職である教員の意見に耳を貸そうとしなかった、そこに今回の事案の発端があります。
―― 附属小でやろうとしている校長権限の強化は、附属小がやってきた創造的な実践を壊すことになりかねないわけですね。
折出 附属小の創造的な実践を、全面的にではなくても、基本的に理解しようという姿勢が校長に必要なのではないでしょうか。教員と対話して、その実践に込められた思いをしっかり聞きとりながら議論していけば、附属小らしい創造的な実践を、次のステップに押し上げられたはずです。
それをやらずに、校長権限の強化を優先したために、おかしなことになってきているわけです。
―― 校長権限の強化のために、附属小は大事な創造的な実践を犠牲にしようとしているようにおもえます。
折出 子どもの成長過程における課題も非常に多様化してきています。そうした現状のなかで、校長の権威だけを押し出すガバナンスが通用するわけがありません。教員と共同して考えていく関係が必要です。
これを私は教職に不可欠な「共見の関係性」と言っていますが、教員の抱えている教育実践での課題や悩み、不安を共に見ながら、協力して解決していく姿勢が校長には求められています。そういう共見の立場でリーダーシップをとってこそ、校長の役割を果たしたことになります。
そういう教育実践で重要なことを軽視して、校長が自分の権限強化ばかりを優先したことが、大きな問題だとおもいます。