奈教大付小の図画室には、1991年度の文科省検定済図工科教科書『子どもの美術』(現代美術社)が300冊ほど並んでいます。最終発行の年度末に子どもたちから寄付してもらったものです。
教科書は単価が安く(2023年度の図工科は228円)、良心的であっても規模の小さい出版社は続けられません。
『子どもの美術』の執筆・編集には大勢のサークル仲間が協力し、作品を寄せ、子どもと教員のための教科書づくりに尽力しました。それで、教科書本体はもちろん、指導者用解説書の内容も優れて教科の本質をふまえ、「美術とは何か」を語りかけ、各領域・題材の目標・価値もわかりやすく伝えています。
付小では、この優れた教科書を何十年も保管し、痛んだものは修繕に出し、授業で使い続けています。
わたしたちは教科書を軽視していません。よい教科書を子どもたちの手に届けたいとつよく願っています。
「使っていない」「使うべき」「使わなくてもよい」だけでなく、「子どものための教科書は?」という議論こそを大事にしたいです。