奈良教育大学附属小学校の保護者の方から、大学の相談窓口に送ったメールをお寄せいただきました。
みなさまに読んでいただいて、学校の実情をご理解いただきたいとのことですので、ここに紹介させていただきます。ぜひお読みください。
※子どもや保護者のプライベート部分は少し文章を手直しさせていただいています。
相談窓口 ご担当者さま
付小に子どもが通っています保護者です。
2月2日付の奈良教育大学付属小学校だよりに記載のあった「今回の報道(教育課程の実施等の事案)」を受けた「相談窓口」として示されているメールアドレスに送っています。
このアドレスは大学公式HPにも記載がないため、大学、あるいは、小学校のどの部署のどの方が読まれるのか判然とせず情報の取り扱いに不安もありますが、致し方なく、メールすることにしました。適切に取り扱い、関係部署、関係各位のみなさまに情報共有、検討していただきたく存じます。
今回の報道(教育課程の実施等の事案)および、その後の対応について、以下2点、意見を申し上げます。
1 報道に関して、大学の情報管理のあり方について、大きな不安と失望、憤り
緊急保護者会開催の当日、保護者説明会開催よりも半日以上前のタイミングで特定のメディアなどにより、事案の概要や具体的な内容まで触れた報道がなされていました。
また、保護者説明会でも、新聞社から問い合わせがあったので敷地内の外観撮影を許可した、など学長からお答えがありました。
なぜ、保護者を差し置いて、保護者説明会で説明する重要な内容を、外部、つまり特定のメディアに先んじてリーク、あるいは取材対応したのか、甚だ疑問です。
翌日に記者会見を開く予定であることは保護者説明会でも説明がありました。
にも関わらず、保護者より前に、内容にまでわたって説明をする取材対応をしたのか、あるいは、公式な取材対応とは別に、内容を漏らした関係者がいるのか、経緯を把握していたにせよ、していなかったにせよ、いずれにしても、児童・保護者にとって機微に触れる情報を、直接の関係者である保護者を差し置いて情報を外部に知らせたことについて、保護者軽視の対応であると感じています。
今回の情報のリークについて、調査や説明の機会はあえて設けられないと思いますが、それが意図的でなく偶発的なものであったとしても、大学がきちんとした情報管理をできないこと、その対応には大変問題があったと感じ、今回の教育課程の実施等の内容以前に、大きな不安と失望、憤りを感じています。
情報管理さえ適正にできない大学に、教育課程の実施の改善をリードする資格があるのか、とさえ感じます。
2 「付小教員の全員入れ替え、あるいは大幅な入れ替え」の可能性に大きな不安、反対
緊急保護者会の後、新年度の教員態勢や方向性について、具体的な進捗や説明が明確にないまま、「付小教員の全員入れ替え、あるいは大幅な入れ替え」の可能性があると聞きました。
付小あるいは大学から進捗の説明がない現状では、その真偽はわかりませんが、もしそのような方針が本当にあるのであれば、大変不安を感じ、反対します。
大学も今回の事案の当事者である以上、保護者に進捗や方針について丁寧な説明を行い、意見を聞き、保護者に諮るべきだと思います。
大学は、保護者や児童不在のまま、方針を決め、保護者に事後報告できるような状況ではないと自覚していただきたいと感じています。
また、児童にとって、担任や担任以外の教員とこれまで築いてきた人間関係と信頼関係は
学校生活を心身ともに健康に送り、安心して学びを得るためには欠かせないものです。
教員の全員入れ替えや大幅な入れ替えにより、これまで担任や担任以外の教員と築いてきた人間関係を奪い、急激に環境を変化させることは、子どもが安心して学ぶ権利を毀損し、また、ひいてはこどもの生き死にに関わるほどの重大で危険な行為だと感じ、大変大きな不安を感じています。
私の子どもに対し、担任をはじめ、担任以外の教員・職員が子どもの特性を理解しようと試み、丁寧に我慢強くコミュニケーションをとりながら臨機応変に対応を続けてくれました。また他のクラスメイトとの関係構築の橋渡しも行ってくれました。
これまでの経緯や子どもの特性をよく知る教員たちの連携がセーフティネットとして機能し、学校が安心できる居場所になっています。
一人一人のこれまでの経緯をよく知る教員たちが形作るセーフティネットに守られている児童は他にも多くいる、と他の保護者の話を聞いていて感じています。
教員の全員入れ替えや大幅な入れ替えは、このようなセーフティネットを児童たちから取り上げ、成長の経緯とこれまで築いた人間関係を白紙に戻す、ということに他なりません。
私の子どもの場合は、人間関係に支えられた安心できる居場所を奪われることがより深刻な事態につながる、重大で危険な状況だと、非常に不安に感じています。
不祥事を起こした会社が、社長以下従業員全て入れ替えるというようなことはないと思います。
もしそうであれば、大学ももとより付小の運営に関与し、責任を負っている以上、大学も全員入れ替えなければ改善が図れないというようなことになってしまうと思います。
改善を進めるにあたり、決してそのようなことをする必要もなく、また過去の事例もないと思います。
全員入れ替えるなどではなく、むしろ、その場にいた人たち自身がこれまでの経緯も踏まえて、新たに学びを深めながら行っていくべきではないかと思います。
自らも学びながら、改善を進めていくことが、とりわけ教育現場に携わる大人が今示すべき態度ではないかと感じています。
以上です。
いち保護者の意見ではありますが、放置せず、ぜひ関係のみなさまで情報共有、議論し、ご検討いただきたいと存じます。よろしくお願いします。
保護者よりも前に報道機関に情報が漏れるって、それこそガバナンスはどうなっているんでしょう。記者会見以前に報道機関に情報を漏らしていた関係者がいたら、それこそ責任問題ではないでしょうか。調査委員会はガバナンスという言葉がお好きなようですが、それは附小の先生たちの問題ではなく、大学当局にこそ問題があるのでは?と感じます。そして、処分は大学経営陣にすればいいのでは?と思ってしまいます。という外野の感情論を、保護者さんたちは当事者として外野の私よりも理路整然と述べられています。この保護者さんの声が聞き取れないとしたら、事実(科学)と自治に根ざす研究機関としての大学の質が問われますね。